はじまりは

 トラディショナルスタイルのカヤックに乗り始めて10年目。バンクーバーのベテランガイド・ダン-ルイス氏に言わせれば7年ひと区切りなので、やっと中級です。
 それでも、このカヤックに乗るようになってから海をより身近に感じるようになった気がします。乗り味が厳しかったり、他のカヤックに比べてより海面に近かったりすることで、以前と比べて、気象・海象を気にするようになり、波やうねり・風など海そのものに対してより敏感になってきたようです。
 ちなみに今乗っているのは04年9月に作った、1880年代に使われていたという長さ6m弱の南グリーンランドタイプカヤックのレプリカです。
 それで、ずっと考え続けてきました。憧れはいいけれど、どうがんばってもイヌイットやエスキモー・アリュートにはなれません。それならば、日本独自のカヤック(シーカヤックのみかもしれませんが)の姿というのがあってもいいんじゃないか等々・・・。
 ある時ハタと思いつきました。
 「ゴミ狩族」なんてどうだろうと。
 カヤックに乗ると、水面に非常に近いからか、海の環境に関して敏感になる傾向があります。海に浮いているゴミを必ず持って帰ってきてしまうというカヤッカーは以前からいますし、定期的に海岸清掃を実践しているショップやクラブもあります。だから、私が初めて思いついたことではありませんし、今さら何を?という向きもあるでしょう。
 でもあえて提案したいのです。海に出る度に、狩りをするごとくゴミを拾ったらどうでしょう。
 あたかも猟から帰る極北のハンターのごとく、ツーリングから帰るときには後ろのデッキ上にゴミのつまったビニール袋が置かれていたらどうでしょう。
 それってカッコ悪くない?なんて言わないでください。
 せっかく海に出るのです。海で遊ばせてもらっているお礼に、ほんの少し海に優しいことをしてみませんか?

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